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木村峻郎弁護士作成!法律学習用講習会レジェメ「『中小企業における経営の承継の円滑化の方法』 ~遺留分に関する民法の特例~その1」相続・事業承継

木村 峻郎 先生講習会レジェメ掲載中!税理士会向けセミナー
テーマ:「『中小企業における経営の承継の円滑化の方法』 ~遺留分に関する民法の特例~その1」(税理士の先生方へ)

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法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)

「『中小企業における経営の承継の円滑化の方法』~遺留分に関する民法の特例~その1」

●●税理士会●●支部
平成20年11月18日
(注)上記日付時点の法令に基づき、作成されております。
アイランド新宿法律事務所
代表弁護士 木村 峻郎

はじめに
「遺留分に関する民法の特例法」は遺留分侵害を理由とする遺産争い防止のために制定された法律ですが、制定当初はその実効性を疑問視する声が多くありました。しかし、相続をめぐる紛争には様々なケースがあり、この特例法に従った処理が効果的な場合も生じました。そこで、資産税について相続を受ける税理士の先生方もこの特例についても勉強してみて下さい。現在はこの特例法も一つの選択肢として、その効用が見直され、漸次利用がされております。

第1 特例法の概要

1.規定の内容
① 生前贈与
② 株価の固定

2. 生前贈与
中小企業である甲会社の経営者Aが、子Bを会社の代表者に就任させるため、Aの所有する甲会社の発行済株式の全部をBに生前贈与した場合、それが他の相続人CやDの遺留分を侵害することになったとしても、 「相続人CやDは、生前贈与を受けたBに対し遺留分減殺請求を行使することが出来ない」とする制度。

3.株価の固定
① AがBに贈与した株式の価額を、平成20年9月18日現在における時価を基準に「1株を1万円」と定め、その後Bが甲会社の経営者として業績を向上させたため、1株の価額が5万円になった場合でも遺留分の計算においては「贈与した株式は1株1万円」と評価して、株価を固定する。
② その結果、1株を5万円と計算した場合には、Bが受けた生前贈与がCやDの遺留分を侵害することになったとしても「1株を1万円と評価するため、CやDの遺留分を侵害しない」という処理をすることが可能となる。

※遺留分と遺留分減殺請求権について

1.遺留分とは?
① 遺留分 = 相続人から請求があれば、必ずその相続人に取得させなければならない遺産のこと。
② 遺留分の割合 =
イ) 自己の法定相続分の2分の1(民法1028条2号)
ロ) 但し、直系尊属だけが相続人になる場合:遺産総額の3分の1(民法1028条1号)
※「兄弟姉妹には遺留分はない」ことに留意。

2.遺留分算定の基礎となる「遺産総額」の算出方法(民法1029条以下)

(図1)

3.遺留分の計算
【事例】
被相続人Aには長男B及び次男Cと妻Dがいる。Aの遺産には、土地(時価5千万円)と甲会社の株式(時価1億円)及び現金・預金が5千万円ある(合計2億円)。この場合において、Aは「全財産をBに相続させる」旨の遺言を行なったとき、次男Cと妻Dの遺留分はいくらになるか。

(1) Aが2億円の財産を遺して亡くなった場合、相続人全員の遺留分は遺産総額の2分の1である。そこで
2億円×2分の1=1億円(相続人全員の遺留分)

(2) 法定相続分が2分の1とされている妻Dの遺留分は、
1億円×2分の1=5千万円(妻Dの遺留分)

(3) 法定相続分が4分の1とされる次男Cの遺留分はそれぞれ
1億円×4分の1=2千5百万円(次男Cの遺留分)

4. 遺留分減殺請求権行使の効力等
① 前記の事例において、被相続人Aが「全財産をBに相続させる」旨の遺言をした場合、C・Dが遺留分減殺請求権を行使すると、土地と株式のそれぞれについても、次男Cは8分の1、妻Dは4分の1の権利を有し、長男Bを含めた3人で各財産を共有することになる。

② 株式の共有

共有者の代表者を定めて、その代表者が議決権を行使する。ただし協議が整わない場合、近時の会社法の改正で、甲会社側からBを相続人の代表者として議決権を行使させることが可能となった。
(会社法106条ただし書)

第2 遺留分に関する民法の特例法の適用要件

1.甲会社が「中小企業者」であること。
※甲会社が「中小企業者であるか否か」は、甲会社の営業内容によって異なる。その基準は別紙を参照。

2.譲渡人(旧代表者)は、中小企業者の代表者であった者または現在代表者である者。

3.「後継者」
旧代表者AがBに甲会社の発行済株式を生前贈与する場合、Bが「後継者」と言えなければならない。
① BがAの推定相続人であること。

② Bが旧代表者Aより50パーセントを超える株式の贈与を受けること。
※Bがすでに50パーセントを超える株式を有している場合には、特例法は適用されない。

③ Bが甲会社の代表者であること。
※Bが甲会社の代表者でなければ特例法は適用されない。

4.効果
前述した如くAの相続が発生した場合、後継者Bが取得した株式につき、
① 遺留分を算定する遺産の総額に算入しない、或は②株式の価額を、合意時の価額で算定することが可能になる。

5.その後の事情により特例法が適用されなくなる場合
① 後継者Bが合意の対象とした株式等を処分した場合。
② 後継者Bが当該特例中小企業者の代表者として経営に従事しなくなった場合。

6.株式以外の財産について
円満な事業承継を図るためには、会社の株式と共に、必要となる資産も後継者が取得できなければならない。そこで、生前贈与により取得した財産の全部又は一部について、遺留分の算定に算入しないことも可能となった。

7.推定相続人全員の合意が必要となる。

8.経済産業大臣の確認
推定相続人全員の合意が「経営の承継の円滑化を図るため」であったか否かの確認をする。仮に目的に違反する場合には、合意の効力が認められない。

9.家庭裁判所の許可
① 許可を得ることは、合意を有効とする要件になる。
② この許可の申立は、経済産業大臣の確認後1ヶ月以内に行なう。
※現行法=遺留分の生前放棄は家庭裁判所の許可を得ることが要件である。遺留分の放棄が、本人の真意に基づいたものであるかどうかを判断する趣旨から規定されたものであるが、実務上認められない場合が多い。

以上

「『中小企業における経営の承継の円滑化の方法』 ~遺留分に関する民法の特例~その2」へ続く

(PDF)木村峻郎弁護士作成!講演会レジェメ掲載中‐291112-1
(PDF)木村峻郎弁護士作成講演レジェメ掲載中!291112-1

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