木村峻郎弁護士作成!講演レジェメ集:

木村峻郎弁護士作成!法律学習用講習会レジェメ「東京税理士会●●支部セミナー テーマ『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察3』」誤解が生じやすい事例

木村 峻郎 先生講習会レジェメ掲載中!
テーマ「東京税理士会●●支部セミナー テーマ『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察3』」(税理士の先生方へ)
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法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)

平成23年9月15日
(注)上記日付の法令に基づいて作成されております。
於 東京税理士会 ●●支部

『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察③』

アイランド新宿法律事務所
代表弁護士 木村 峻郎

第5 弁護士からみた税理士の誤解が生じやすい事例 ①

1)〔所得税法64条2項による課税の取扱い〕
保証債務の履行のために資産を譲渡した場合、所得税法64条2項は「譲渡所得を非課税」と規定する。これは「保証人の実質的な担税力が喪失するのにも拘わらず、なお譲渡所得税の支払義務を課すことは公平に反する」という趣旨に基づいて規定されたものである。

2)〔要件〕
①保証人が保証債務を履行するために資産を譲渡したこと。
②債務者が無資力であり、求償権が行使不能であること。
※主たる債務者が既に債務を弁済することができない状態であるにも拘わらず、保証をした場合ではないこと。

3)〔要件解釈〕
《ポイント》
判例の傾向  ①特例の厳格な適用
②証明責任=保証人に負担させる
《結論》
従ってクライアントに対し「資産を売却しても課税されない」旨を述べて、資産譲渡をアドバイスするときは慎重な対応が必要。

(1)所得税法64条2項の適用に関する判例

【認めなかった判例】
〔第1〕
土地を譲渡し、その代金を債務保証をした会社に提供したことにつき、当該譲渡は保証債務の履行のためのものとは認められないとした判例

[事案]
請求人は、
①自己が代表取締役となっている会社の借入金等につき債務保証をしていたところ、同社の業績が悪化し、借入金等の返済が困難となったので、
②同人所有の土地を譲渡し、その代金のほとんどを同社に提供し、
同社はその資金で債務の弁済に充てたものであるから、これは実質的に保証債務を履行するための譲渡に該当すると主張した。

[判旨]
①弁済は期限前に行われており、
②債権者から請求人に保証債務の履行の請求はなく、債権者は請求人から返済を受けたという認識がないので、
③請求人は譲渡代金を同社に単に貸し付けたにすぎず、
本件譲渡は、保証債務の履行のための資産の譲渡とは認められない。

[留意すべきポイント]
所得税法64条2項による非課税の取扱いを受けるためには、保証人が自己の所有する資産を譲渡して保証債務を弁済する旨を債権者や被保証人に対し書面等により通知を事前にしておくこと。

[第2]
「①保証債務の履行をC銀行からの借入れで行い、
②その後D銀行から借入れを行ってC銀行に対する借入金を返済した上、
③本件資産を譲渡し、その代金でD銀行に対する借入金を返済した場合には所得税法第64条第2項の適用がないとした判例」

[判旨]
1.所得税法第64条第2項の規定が適用されるためには、資産の譲渡と保証債務の履行との間に強い因果関係が必要であるというべきであって、保証債務の履行と資産の譲渡とが、たまたま時期を同じくして行われたとしても、保証債務の履行が保証人の譲渡代金以外の資金、信用によって行われたときは、同条項の適用がないものと解すべきである。
2.ただ、保証債務の履行を求められたため、やむを得ず譲渡代金を受領するまでのつなぎ資金として、一時的に借入金でその保証債務を履行しておき、その後短期間のうちに資産を譲渡して、その譲渡代金をもって遅滞なくその借入金を返済するなど、資産の譲渡と保証債務の履行との間に強い因果関係があると認められる場合にも同条項の適用があるものと解する。
3.本件については、分割受領した譲渡代金の流れ等からみて、資産を譲渡した後に借り入れた資金は本件土地の譲渡代金を受領するまでの一時的なつなぎ資金であるとは認められず、土地の譲渡と保証債務の履行との間に強い因果関係があるとは認められないから、所得税法第64条第2項の適用はない。

[留意すべきポイント]
資産譲渡と保証債務の履行とが時期的に近接し、且つ、資産譲渡によって保証債務を履行することを書面にて債権者に通知しておくこと。

(2)求償権の行使不能の認定
保証債務の履行に係る求償権の放棄について、主たる債務者の債務超過に基づくものとは認められないとした判例が多数。
  
[求償権が行使不能とまで認定することができない理由]
保証債務の履行に係る求償権の放棄について、主たる債務者は、
①設立以来、現在まで事業を継続していること
②直近の事業年度の決算では毎期純利益を計上し、繰越欠損金は減少しており、また、不良債権であるという売掛金も回収不能であると認めるに足る証拠はないこと
③請求人以外の者からの借入金は、返済、借入れを繰り返しながら全体的に減少し、請求人が求償権を放棄した事業年度においても借入金を返済していること
等を総合勘案すると、請求人の主たる債務者に対する求償権の放棄について、その行使ができないために行ったものと認めることは相当でない。

[留意すべきポイント]
主たる債務者が、その後も事業を継続していくことが前提となっている場合には、「求償権の行使が不可能とは言えない」ため、所得税法64条2項が適用されない場合が多い。

以上

「東京税理士会●●支部セミナー テーマ『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考4』」へ続く

(PDF)木村峻郎弁護士作成税理士会セミナー291108-1
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