木村峻郎弁護士作成!講演レジェメ集:

木村峻郎弁護士作成!法律学習用講習会レジェメ「東京税理士会●●支部セミナー テーマ『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察2』」税理士の侵害賠償責任に関する判例

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「東京税理士会●●支部 テーマ『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察2』」(税理士の先生方へ)
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法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)

平成23年9月15日
(注)上記日付の法令に基づいて、作成しております。
於 東京税理士会●●支部『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察②』

アイランド新宿法律事務所
代表弁護士 木村 峻郎

第4 税理士の損害賠償責任に関する判例~その1

【税理士の責任が肯定された例】

❶《指導・助言義務違反》
平成7年6月19日 東京高等裁判所判決(判例時報1540号48頁)

1.事案の概要
相続人甲から相談を受けたA税理士が好意で税務申告書を作成し、自己の署名捺印をしたうえ、委任状を受領して申告書を提出したが、A税理士は甲らに対し報酬の請求はしなかった。甲らは現金預金等がなく、当初から相続土地を売却して支払いをする予定であったが、なかなか買い主が決まらなかった。ちなみにA税理士は延納許可申請はしなかった。

2.争点
①報酬支払の約定のない好意による税務代理であっても、通常の税務代理委任契約が成立するか。
②上記①が肯定される場合、委任事務(委任契約)の中に、税額納付につき過剰な負担を負わせないよう務め、一括納付が困難なときは延納許可申請手続を為さしめるべき注意義務(助言、指導義務)を含むか。

3.判決の要旨
【争点①】(委任契約の成立要件・時期)について
1)委任契約は委任状を受領したとき。
委任状を自ら要求しているから、その時点で受任したというべきものである(民法643条)。
2)報酬の約束の有無は委任契約成立を左右するものではない(民法648条1項)。

【争点②】(委任契約上の付随義務・説明義務)について
 指導、助言を行うことは、単なるサービスというものではなく、相続税の確定申告に伴う付随的義務である。
税理士は税務の専門家であるから、税務に関する法令、実務の専門知識を駆使して、依頼者の要望に適切に応ずべき義務がある。すなわち、受任者は善良な管理者として依頼者の利益に配慮する義務があり(民法644条)、相続税の修正申告を受任した場合には、税理士法上の義務として、法令に適合した適切な申告をすべきことは当然であるが、法令の許容する範囲内で依頼者の利益を図る義務がある。そして、その義務の具体的内容として、相続税の修正申告(税額の確定作業)に伴い、相続税の納付が何時必要であるのかを依頼者に説明し、その納付が可能であるかどうかを確認し、これができない場合には、延納許可申請の手続をするかどうかについて依頼者の意思を確認する義務がある。
※ 税理士法第2条には税理士の行う業務を限定的に列挙しているが、これは税理士の資格がない者に税理士業務の禁止(同法第52条)のために、業務範囲を明確にするためであって、税理士の責任を負うべき事務の範囲を限定する趣旨のものと解することはできない。

第4 税理士の損害賠償責任に関する判例~その2

【税理士の責任が肯定された例】

❷《説明義務違反》
(平成10年3月13日 大阪高等裁判所判決)
税理士の納税者に対する説明は、「基本通達に反する確定申告をしても、その主張が認められる」という印象を与えるものであり、「更生された本税以外に過少申告加算税、延滞税も支払わなければならない事態となる恐れがある」ことの説明が十分でなかったというのであるから、債務不履行責任を免れるものではないとされた事例。

❸《委任契約の不完全履行》
(平成5年11月24日 神戸地方裁判所判決)

【税務相談を内容とする委任契約に、不完全履行があったとされた事例。】

「X及びB社(共に代表者は、A)は、税理士Yとの間で税務顧問契約を締結し、Aは、XのB社に対する貸金債権を貸倒損失として損金処理し、これとX所有の不動産の売却によって生ずる売却益とを相殺勘定することが許されるかどうか、Xを解散し、株主たる地位に基づき有利な残余財産の分配を受けたい旨の税務相談をしたところ、Yは、所轄署と話し合いがつき昭和62年にXを解散した場合には、その申告で欠損金を損金算入し、利益控除に利用できることとなったから、買換資産の買収を中止し、直ちにXを解散してもよいとの教示をしているところ、本来、このような法人税等の節税目的を実現する為には、62年に買換特例の適用を受けてその差益を63年まで繰延べ、且つ同年の確定申告上、売買差益から61年欠損金を控除しなければならなかったもので、Yの職歴、税理士資格・経験に鑑みると、Yには法人税法及び措置法の法意を十分理解しておくべき職務上の義務があったと言うべく、前記Yの教示は、適正な税務処理に照らし、客観的に誤りがあったと言うことができること、従って、Yは、税務相談を内容とする契約に基づき、Xに対し適正な教示ないしは税務指導をなすべき債務を負担しているにもかかわらず、誤った教示を行ったという不完全な履行をしたものと言わなければならない。」

❹《過年度ワラント債売却損につき嘆願書を提出すべき義務》
(平成15年2月27日 東京高等裁判所判決)

「ワラント債の売却損の認定及びそれに伴う税額の更正の決定は比較的容易であって、その認定判断はそれほど時日を要するものではないことが認められるから、税理士がクライアントに対し説明し、証券会社に照会させるなどして早急に資料を整えたうえ、税務当局に嘆願書を提出するなど、所要の措置を講じていれば税務当局が期限までに更正の決定をすることが不可能ではなかったので、顧問契約上の義務違反がある。」

【税理士の責任が否定された例】

《経理担当者の横領による損害と顧問税理士の責任》
(平成17年4月12日 福岡高等裁判所判決)

1.受任の内容
顧問先が作成した総勘定元帳の記載をもとに、決算書作成や申告、税務代理までを業務内容とする顧問契約

2.税理士の善管注意義務の範囲
前記業務内容を遂行するに必要な範囲に限られる。従って、総勘定元帳の記載から勘定科目の仕訳の適否に関する判断を超え、従業員が横領のために行った虚偽の記載につき、税理士が取引の実在を疑わせるような異常性を認識し、その存否を確認するために伝票や証憑を精査したりすることまでの義務はない。

以上

「東京税理士会●●支部 テーマ『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察2』」へ続く

(PDF)木村 峻郎 弁護士作成税理士会セミナー用講演会レジェメ291107-7
(PDF)木村峻郎弁護士作成税理士会セミナー291107-7

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