木村峻郎弁護士作成!講演レジェメ集:

木村峻郎弁護士作成!法律学習用講習会レジェメ「東京税理士会●●支部テーマ『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察1』」税理士の法的責任

木村 峻郎 弁護士作成講演レジェメ掲載中!税理士会セミナー(税理士の先生方へ)
於 「東京税理士会●●支部テーマ『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察①』」

法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)

平成23年9月15日
(注)上記日付の法令に基づいて、作成しております。
於 東京税理士会●●支部

『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察①』

アイランド新宿法律事務所
代表弁護士 木村 峻郎

第1 総 論

1)税理士の法的責任
①刑事事件=
②民事事件=

2)損害賠償請求訴訟の現状

3)責任を負担する相手方

①クライアントに対する責任
委任契約に基づく債務不履行責任(民法415条)

②第三者に対する責任
不法行為に基づく損害賠償責任(民法709条)

※①、②はいずれも過失(善管注意義務違反)が要件

4)税理士が注意すべき程度=善管注意義務違反
※「税理士としての知識・経験からすれば注意しなければならない」と客観的に考えられることは、全て注意すべき義務がある。この注意をしなかったため他人に損害を与えたときは「過失がある」ものとして損害賠償責任を負わされる。

5)損害賠償責任の範囲=相当因果関係(民法416条の範囲)
①クライアントが実際に被った損害。
②裁判費用(印紙代等)も含まれるが、相手方が支払った弁護士費用は原則として含まない。

6)クライアントにも帰責性(過失)がある場合
過失相殺(民法418条、同722条)により、税理士が負担する損害賠償額が減額される。

第2 トラブル発生の原因

1)委任契約が成立したか否か不明
※知人の紹介で相談を受け、「無償で税務処理を手伝ってあげた」等の好意による依頼の場合に多く生じる。

2)受任事務の「範囲の未確認」
※相続がらみの相談案件等、助言・指導が多数の事項にわたる場合に多く生じる。

3)説明義務違反(助言義務違反)

4)期限を失念する等の「単純な過失」

5)技能不足による誤った指導

6)クライアントの虚偽記載の認容 etc.

第3 予防策
[事前準備]

1)契約書の作成。
①受任内容を明確にする。
※「相続税の申告に必要な一切の事項」といった包括的な受任はしない。

②免責条項を挿入する。
※例:「情報の開示と説明及び免責」
『1.乙は甲の委任事務の遂行に当たり、とるべき処理の方法が複数存在し、いずれかの方法を選択する必要があるとき、並びに相対的な判断を行う必要があるときは甲に説明し、承諾を得なければならない。

2.甲が前項の乙の説明を受け承諾をしたときは、当該項目につき後に生じる不利益について、乙はその責任を負わない。

3.財産評価に当っては、相続税法財産評価通達に定める評価方法以外での評価方法(例えば、不動産鑑定士による鑑定評価)をもって相続税の課税価格とする際は、甲の責任によって当該評価方法の選択を判断する。従って、税務調査時においてその判断が認められず別の評価方法等による評価を余儀なくされ、結果として追加税額及び付帯税等が発生する場合は、甲の責任において対処し、乙はその責任を負わない。』(税務研究会出版局「税理士のための税賠事故例とその予防策」より抜粋)

2)十分な説明を行う。
※証拠を残す=打ち合わせ事項や連絡事項の書面化

3)チェック体制の充実。
※事案処理について、書面を作成し、従業員スタッフと定期的に打ち合わせをする。

4)その他

[事後対策]
1)報告書面の作成・送付。

2)相手方からの内容証明郵便等による税理士の責任追及に対し、遅滞なく反論を行う。

3)税理士職業賠償責任保険の利用の検討。  etc.

以上

第4 税理士の損害賠償責任に関する判例~その1~

【税理士の責任が肯定された例】

1)[指導・助言義務違反]
平成7年2月19日 東京高等裁判所判決(判例時報1540号48頁)

1.事案の概要
相続人甲から相談を受けたA税理士が好意で税務申告書を作成し、自己の署名捺印をしたうえ、委任状を受領して申告書を提出したが、A税理士は甲らに対し報酬の請求はしなかった。甲らは現金預金等がなく、当初から相続土地を売却して支払いをする予定であったが、なかなか買い主が決まらなかった。ちなみにA税理士は延納許可申請はしなかった。

2.争点
①報酬支払の約定のない好意による税務代理であっても、通常の税務代理委任契約が成立するか。
②上記①が肯定される場合、委任事務(委任契約)の中に、税額納付につき過剰な負担を負わせないよう務め、一括納付が困難なときは延納許可申請手続を為さしめるべき注意義務(助言、指導義務)を含むか。

3.判決の要旨

【争点①】(委任契約の成立要件・時期)について

1)委任契約は委任状を受領したとき。
委任状を自ら要求しているから、その時点で受任したというべきものである(民法643条)。

2)報酬の約束の有無は委任契約成立を左右するものではない(民法648条1項)。

【争点②】(委任契約上の付随義務・説明義務)について
指導、助言を行うことは、単なるサービスというものではなく、相続税の確定申告に伴う付随的義務である。
税理士は税務の専門家であるから、税務に関する法令、実務の専門知識を駆使して、依頼者の要望に適切に応ずべき義務がある。すなわち、受任者は善良な管理者として依頼者の利益に配慮する義務があり(民法644条)、相続税の修正申告を受任した場合には、税理士法上の義務として、法令に適合した適切な申告をすべきことは当然であるが、法令の許容する範囲内で依頼者の利益を図る義務がある。そして、その義務の具体的内容として、相続税の修正申告(税額の確定作業)に伴い、相続税の納付が何時必要であるのかを依頼者に説明し、その納付が可能であるかどうかを確認し、これができない場合には、延納許可申請の手続をするかどうかについて依頼者の意思を確認する義務がある。

※ 税理士法第2条には税理士の行う業務を限定的に列挙しているが、これは税理士の資格がない者に税理士業務の禁止(同法第52条)のために、業務範囲を明確にするためであって、税理士の責任を負うべき事務の範囲を限定する趣旨のものと解することはできない。

以上

「東京税理士会●●支部テーマ『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考②』」へ続く

(PDF)木村峻郎弁護士作成税理士会向けセミナー291107-1
(PDF)木村峻郎弁護士作成税理士会セミナー291107-1

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