木村峻郎弁護士作成!講演レジェメ集:

木村峻郎弁護士作成!法律学習用講習会レジェメ(税理士の先生方へ)「弁護士から見た書面添付制度~書面添付制度と税理士損害賠償~」書面添付制度

木村 峻郎 先生講習会レジェメ
法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)
テーマ「弁護士から見た書面添付制度~書面添付制度と税理士損害賠償~」(税理士の先生方へ)
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「弁護士から見た書面添付制度~書面添付制度と税理士損害賠償~」

アイランド新宿法律事務所
代表弁護士 木村 峻郎

第1 書面添付制度

税理士法第33条の2(抜粋)
税理士又は税理士法人は、国税通則法第16条第1項第1号 に掲げる申告納税方式又は地方税法第1条第1項第8号 若しくは第11号 に掲げる申告納付若しくは申告納入の方法による租税の課税標準等を記載した申告書を作成したときは、当該申告書の作成に関し、計算し、整理し、又は相談に応じた事項を財務省令で定めるところにより記載した書面を当該申告書に添付することができる。



【書面添付制度の主な意義】
・税務調査の前に、税理士が添付書面の記載事項について意見を述べる機会を得られる。
・税理士が意見を述べた結果、税務調査が不要と判断された場合、原則としてその旨が税理士に通知される。

【書面添付制度の利用率】
相続税申告における書面添付制度の利用率は、所得税・法人税と比べると高いが、それでも13.6%(平成27事務年度国税庁実績評価書より)にとどまっており、決して高いとはいえない。だが…。


弁護士の立場から見ても、書面添付制度にはメリットがある。

第2 税理士の損害賠償責任に関する裁判例

【事例1】
相続税申告後に税務調査が実施された結果、複数の生命保険契約に基づく生命保険金等の申告漏れが指摘され、修正申告を余儀なくされたことで損害を被ったとして、申告を行った税理士が損害賠償請求を受けた。

(争点)
税理士が生命保険金等の存在を看過したことに注意義務違反があったか

■依頼者側の主張
交付した預金通帳の中に、保険料の引き落としが記載されていたから、税理士が預金通帳を精査していれば、生命保険契約の存在を見過ごすことはなかったはずである。

□税理士側の主張
・預金通帳の中に保険金に関する入出金記録があったとしても、保険証書等の保険契約の内容を確認できる資料がなければ正確な税務申告はできない。
・一部の生命保険については、申告前に保険金が支払われていたにも関わらず、税理士に対してその資料の開示がなされなかった。

【事例2】
税理士が過去にBを被相続人とする相続税申告(以下「本件申告」という。)を行ったが、本件申告にあたり、Aの祖父(Bの父)であるC名義であった土地(以下「本件土地」という。)をBの財産として相続税申告をしていた。
そうしたところ、Aの死後、Aの子から、本件申告が過大申告であったとして損害賠償請求を受けた。

  ※ 事例2 身分関係略図1
             C(登記名義人)
             │
             B(税理士が同人の財産として申告)
             │
             A
             │
            Aの子(損害賠償請求者)

(争点)
C名義の不動産を相続財産として申告をしたことが注意義務違反となるか。

■依頼者側の主張
・本件土地はBの単独所有ではなかった。Cの死後にその相続人間で遺産分割協議が行われた形跡もない。
・税理士は税務相談を受けた後、申告までにCの相続に関する遺産分割協議書の提示を求めなかった。

□税理士側の主張
・本件土地につき、Bの相続人に所有者を尋ねたが、皆、B所有と回答した。
・Bが本件土地の使用収益をしていた間、他の者から異議はなかった。
・Bは他の会社に本件土地を賃貸し、その賃料収入を確定申告していた。

【事例3】
相続税申告にあたり、相続財産である土地について、産業廃棄物が埋められていることから減価を行った後、更に産業廃棄物除去費用を控除して評価額を0円としたほか、相続財産として土地上の建物及び建物内の家具類を計上していながら、当該土地の借地権を相続財産に含めなかったこと等から、それぞれの点について修正申告を余儀なくされたことで損害を被ったとして、申告を行った税理士が損害賠償請求を受けた。

(争点①)
相続財産である土地についてゼロと評価したことが注意義務違反となるか

■依頼者側の主張
不動産鑑定士の評価書では一度産業廃棄物が埋設されていることで減価されているのにも関わらず、更に産業廃棄物撤去費用を控除して価格をゼロと評価したことは注意義務違反である。

□税理士側の主張
税理士は、ゼロ評価を望む相続人に対して、ゼロ評価とすることは否認される可能性が極めて高いことを説明した。

(争点②)
借地権を相続財産として計上しなかったことが注意義務違反となるか

■依頼者側の主張
土地上の建物及びその家財道具を計上しながら借地権を計上しなかったのは明らかに見落としである。

□税理士側の主張
税理士は、土地上の建物及びその家財道具を計上している以上、借地権を計上する必要があることを説明した。

【事例4】
A社、B社の代表者Xは、会社を整理する前提として、A社のB社に対する貸金を貸倒損失として損金算入する一方で、A社所有不動産を売却し、生じた譲渡益とを相殺勘定できないか、税理士に相談した。
当時の租税特別措置法では、解散確定申告も含め、直近1年間に生じた欠損金は損金に算入できない扱いであった。
ところが、税理士は、相殺勘定できるが、そのためにはB社の解散が必要であると回答したことから、A社は不動産を売却した。
その後、税理士はA社管轄の甲税務署に問い合わせ、当該年度のみ、会社を解散した場合には解散確定申告で欠損金を損金算入し利益控除に利用して良いとの回答を得たため、その旨をXに助言した。
そして、A社は本店を乙税務署管轄に移転したうえで解散した。
A社は乙税務署長から解散確定申告における欠損金の損金算入を否認された結果、税理士は損害賠償請求を受けた。

(争点)
 税理士が税務署に問い合わせをしたうえで教示した結果が誤ったものであった場合、税理士に注意義務違反があるか。

■依頼者側の主張
 税理士は適正な税務指導を行い、誤った税務指導を行ってはならない義務を負っているのであるから、税理士に注意義務違反がある。

□税理士側の主張
 甲税務署に問い合わせを行い、その結果に基づいて税務指導を行ったものであるから、注意義務違反はない。

                              
第3 裁判例の結論を分けるポイント
税理士の損害賠償責任を巡る裁判の多くにおいて結論を分けるポイントは以下の3つである。

① 税理士が依頼者に対して、どのように指示・説明をしたか
② 税理士が依頼者から、いかなる資料の提供を受けたか
③ 税理士が申告に際して、いかなる調査を行ったか


裁判所は証拠に基づいて事実認定を行う

第4 弁護士から見た書面添付制度のメリット
 ① 添付書面の記載内容
 ② 添付書面の作成目的とそれに伴う証拠としての価値


紛争となってしまった後だけでなく、紛争の予防にも役立つ
                                
以上

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