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木村峻郎弁護士作成!法律学習用講習会レジェメ(民法)「弁護士から見た有利な事業承継その1」譲渡制限株式、拒否権付き株式

木村 峻郎 先生講習会レジェメ掲載中!
法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)
テーマ「弁護士から見た有利な事業承継その1」(民法)
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弁護士から見た有利な事業承継その1
平成25年6月19日
(注)上記日付の法令に基づいて、作成されております。
アイランド新宿法律事務所
代表弁護士 木村 峻郎

第1 総論
弁護士から見た有利な事業承継とは?

1.相続により事業承継を図る場合、最も問題になるのが「被相続人が経営する会社の所有株式を誰に、どの様な割合で相続させるのか」という点であります。会社の経営について、被相続人Aの長男Bが、Aをサポートする目的から会社の経営に協力している場合、Aは所有株式の全部をBに相続させることを意図する場合が多くあります。しかし、Aが「会社の全株式をBに相続させる」旨の遺言をした場合には、Aは次男C等の遺留分を侵害してAの死後、B・C間の争いが生じる危険性があります。
2.そして遺留分をめぐる紛争が生じた場合には、遺産分割協議が成立するまでの間は当該株式についてはB・Cが共有持分を有することになるため、会社の円満な経営が害され、結局長男Bは次男Cとの紛争を解決しない限り不利益を被ることになってしまいます。そのため相続人に有利な特例の恩恵を受けることも先送りにされてしまうことになります。そこで有利な相続とは、何よりも円満な遺留分割協議を行うことに他なりません。

第2 相続人間の紛争防止

1.遺言及び株式を用いた事業承継対策 
(事例1)
①被相続人Aは,甲会社の創業者であり,甲会社の発行済株式の100株(持株比率100パーセント)を所有している。
②相続人として,長男B,次男Cがいる。
③長男Bが甲会社の取締役,次男Cは会社経営には関与していない。
④長男Bに甲会社を承継させるには,どのような対策を講じればよいか。

ア)議決権制限株式:株主総会の議決権行使に関して,議決権を行使することが出来ない株式(会社法108条1項3号)を発行したうえ、①議決権ある株式をBが相続し、②議決権がない株式はCに相続させる旨の遺言書を作成することにより、Cの有する遺留分侵害を回避する。

【会社の定款記載例】
第〇条(議決権制限株式)
A種類株式の株主は,法令による別段の定めがある場合を除き,株主総会における議決権を有しない。
議決権ある株式と議決権がない株式の評価額は原則として同額であるため、例えば議決権のない株式100株をCに相続させ「議決権がある株式100株をBに相続させる旨の遺言をすればB・Cの相続した財産の金額は同額となる。そのため、実質的にはBに事業を譲渡し、しかもCの有する遺留分は侵害しないことになるので、B・C間の紛争を回避することが出来る。

(事例2)
①被相続人Aは,甲会社の創業者であり,甲会社の発行済株式の100株(持株比率100パーセント)を所有している。
②相続人として,長男B,次男C,三男D,妻Eがいる
③甲会社はAの長男Bが取締役,次男Cが営業部長,三男Dは新入社員として,経営に協力している。
④長男Bに甲会社を承継させるには,どのような遺言を作成すればよいか。

イ)拒否権付株式:一定の事項について,特定の株主に拒否権を付与する株式(会社法108条1項8号)。

【定款記載例】
第〇条(拒否権付株式)
以下の決議においては,株主総会の他に,A種類株主総会の株主を構成員とする種類株主総会の決議を要する。
①取締役の選任及び解任
②事業の全部又は重要な一部の譲渡
③重要財産の処分及び譲受け

(事例3)
①被相続人Aは,甲会社の創業者であり,甲会社の発行済株式の100株(持株比率100パーセント)を所有している。
②相続人として,長男B,次男C,妻Dがいる。
③Aは,長男Bを近々,甲会社の代表取締役に就任させる予定である。
④長男Bに甲会社を承継させるには,どのような遺言を作成すればよいか。

ウ)属人的株式の利用
(1)属人的株式とは,定款で,株主ごとに
①議決権行使・②剰余金の配当・③残余財産の分配につき,異なる取り扱いを定めた株式をいう
(会社法109 条2項)。

(2)具体例(特定の地位を有する者が保有する株式に関して,議決権が異なる株式)

【定款記載例】
第○条(株主総会の議決権に関する株主ごとに異なる取扱い)
当会社の代表取締役である株主が有する株式については,1株につき10個の議決権を有する。

2. 定款を用いた事業承継対策(事業承継の前提) 
(事例4)
①被相続人Aは,甲会社の創業者であり,甲会社の発行済株式の50株を所有し,その叔父Bが25株,叔母Cが25株を有している(持株比率100パーセント)。
②甲会社は,非公開会社(すべての株式につき譲渡制限のある会社)である。
③Aには,長男Dがおり,将来的には,Dに甲会社を承継させる予定である。
④定款を利用して,後継者が安定的な会社経営を行えるようにするにはどのようにすればよいか。

エ)相続人に対する売渡請求の利用

【定款記載例】
第〇条(相続人等に対する売渡請求)
当会社は,相続その他の一般承継により当会社の株式を取得した者に対し,当該株式を当会社に売り渡すことを請求することができる。


<参照>
参照条文(会社法174条)

「株式会社は,相続その他の一般承継により当該株式会社の株式(譲渡制限株式に限る。)を取得した者に対し,当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる旨を定款で定めることができる。」

【コラム1】
1【記載漏れの防止(不動産の登記に対する対策)】

事業用財産である不動産を後継者に承継させる遺言に「不動産の記載漏れ」があれば,別途遺産分割協議を行わない限り,漏れた不動産に関する移転登記ができません。
そこで,以下のように記載漏れを防止する規定を設けておくことが有効です。
【遺言の記載例】
「遺言者は,以上を除く残余の遺産は,すべて長男甲に相続させる」

2【遺言書の検認手続】
(1)公正証書遺言以外の遺言においては,検認手続が必要となります(民法1004条)。そして,封印がある場合には,相続人の全員又はその代理人の立会いが無ければ開封できません。しかし,正当な理由なく立会いに応じなかったり,出頭しない相続人に対しては,その立会いなくして,開封をすることができます。
(2)仮に封筒を検認手続前に開封してしまった場合の遺言の効力(民法1005条)
遺言自体が無効になるわけではありません。しかし,5万円以下の過料の制裁があるので注意が必要です。
※検認は,裁判所に遺言書のコピーを残して,遺言書の偽造や変造防止するにすぎず,内容に関する効果を判断するものではないからです。

【コラム2】
【株券の発行手続について】
会社法において,株券を発行しない会社が原則となり,定款で定めた場合に限り,株券を発行することができます(会社法214条)。
非上場株式等に係る納税猶予については,株券不発行会社にも適用される旨の改正がされましたが,相続税・贈与税の延納制度に関しては,株式を担保に供するために株券の発行手続が必要となります。
そこで,延納制度を利用するために株券を発行するには,
①定款変更の特別決議及び
②株券発行会社である旨の登記手続(登録免許税金3万円及び司法書士報酬金5万から金10万円程度)が必要です。
その場合の定款記載例は,以下の通りです。
【定款記載例】
「第○条 (株券の発行)当社は,株式にかかる株券を発行する。」

以上

その2へ続く
「弁護士から見た有利な事業承継」(民法)

(PDF)木村峻郎先生が作成した講義レジェメ掲載サイト291107-1
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