木村峻郎弁護士作成!講演レジェメ集:

木村峻郎弁護士作成!法律学習用講義レジュメ集「税理士の関与先で起こる 労働者からの残業代請求はこう対応しろ!! その1」(労働・雇用問題)解雇予告手当

弁護士 木村峻郎 先生 講義(アイランド新宿法律事務所 代表弁護士)

税理士の先生方向けセミナー
テーマ”税理士の関与先で起こる 労働者からの残業代請求はこう対応しろ!! その①”

(労働雇用問題)

税理士の関与先で起こる労働者からの残業代請求はこう対応しろ!!その①

アイランド新宿法律事務所
代表弁護士 木 村 峻 郎


第1.サービス残業代が会社を倒産させる!

1.残業手当は割増計算
例:「午前9時から午後6時までを就業の時間(休憩1時間)」としている会社が時給を1,500円と仮定した場合。
①p.m6:00~p.m10:00
→ 1時間当り1,875円(25パーセント増)
※但し、60H~80Hは50パーセント増
②p.m10:00~A.m5:00
→ 1時間当り2,250円(50パーセント増)
③勤務時間、休日・祭日の出
→ 1時間当り2,025円(35パーセント増)

2.1時間当りの賃金計算
①基本給
②職能給
③資格手当
を加算して、総就業時間数で除した商
※家族手当、通勤手当は算入しない
例:基本給25万円、年間所定休日122日、1日の所定労働時間が8時間の場合

(図1)

3.未払残業手当の請求期間
労働者は会社に「過去2年間分」の残業手当を請求することができる。

4.付加金の支払
1)支払いは未払残業手当だけではない!
裁判では未払残業手当の支払と共に同額の罰則(付加金)を命じることができる。例えば未払残業代が「100万円」である場合、裁判所は使用者に対し、未払残業代の他、付加金100万円合計「200万円」の支払を命じることができる。

2)使用者が、以下の支払をしなかった場合に「付加金の支払をしなければならない」とされる。

①解雇予告手当(労基法20条)
②残業手当(時間外・休日・深夜労働の割増賃金)を支払わなかった場合 etc.

3)違反があったときから2年間は、付加金についても支払を請求できる。

第2.未払残業代の請求を受けたとき

労働者の武器
1.内容証明郵便による支払請求
労働者が会社に対し、内容証明郵便等を送付して直接支払を求める。その後、会社と交渉をして話し合いによる解決を試みることが行われるが、多くの場合、交渉は決裂する。
※退職者の場合は、内容証明郵便を会社に送付した後に、会社と話し合いの機会を持つことは実際上殆どない。
※内容証明郵便の発送は、自ら計算した「一方的な残業手当」の支払を請求することにより、会社に心理的に圧力をかけ、自己の要求に従わせることをその目的の一つとしている。

内容証明郵便を発送したにも拘わらず、会社が支払をしないとき、労働者は以下に述べる強制手続をとることになるが、内容証明郵便の発送は「裁判用等の証拠づくり」としての意味もある。

2.個別労働紛争解決促進法による処理
1)労働局長による会社への指導
2)紛争調停委員会による斡旋

3.労働基準局による調査
労働者が労働基準局に申告をすると、労働基準局による会社への立入調査が行われる。

労働基準局の調査官が「残業代金の未払を確認」すると、会社に対し是正勧告を発令する。=未払残業手当の金額の支払を勧告される
のが通例。
※労働基準局には相談窓口が設けられ、平成21年度の利用は2万9,107件に達している。

4.労働審判制度
1)裁判所で行う労働審判手続は原則として3回の審理で終了する。
※労働審判手続は「裁判官1名と労働審判員2名の3名で構成する審査機関が行う、簡便な裁判」である。なお労働審判員は学識経験者の中から選任される。

2)特徴
①裁判の進め方を簡単にして「会社と労働者との間に残業をしたか否かの争い」があっても証人尋問は行わず、各人の言い分(主張)は書面に記載して提出する。そこで、「訴訟(正式裁判)」に比べて、申立をした労働者の時間的、精神的な負担は軽減される。そのため訴訟(正式裁判)よりも利用される頻度が高い。
②しかし、この制度を利用した審理では「労働者に対する会社側の反対尋問も行われない」ため、仮に労働者が事実に反する(或いは大袈裟な)会社を非難する主張をしてもそれが通用してしまう危険性がある。そのため、この制度を利用された場合、会社が不利益を被る危険性がある。

労働者の会社に対する未払残業代の支払請求の手段

5.訴訟(正式裁判)について
1)原告である労働者と被告である会社の双方が、自己の言い分(主張)や証拠を裁判所に提出し「証人尋問を行った」うえ、判決の言渡をする制度である。但し、訴訟においても大半の事件が和解(話し合いにより会社が一定額の支払をすることで解決)して終了する。

2)特徴
労働審判との比較
① 解決までに時間がかかる
② 会社の信用が損われる危険性が高い
③ 証拠資料の提出等、裁判資料の作成や提出が煩雑
④ 判決まで時間を要するため、弁護士費用も高額になる場合が多い。
⑤会社が付加金を支払わなければならない場合がある。
等、会社に不利な事情がある。

6.労働者が労働組合に加入し、労働組合が会社と交渉を行う
1)労働組合の交渉
団体交渉=団体交渉は憲法上「労働者や労働組合に保障された権利」であり(憲法28条)、会社が団体交渉を行うことを拒絶すると、裁判所の判決、労働委員会の救済命令等、会社が不利益な取扱を受ける。

2)煩雑な団体交渉=組合側の不当な要求
①「会社は、団体交渉を定期的に行わなければならない」ことになるので、
会社にとって極めて煩雑である。そして又、本来の業務に支障を来たす危険性がある。

②当該労働者以外の多数の部外者が団体交渉に出席し「多数の力」を背景にいわば『嫌がらせのため』に「会社側の対応を、一方的に非難する」ことがある。

③「或る労働者の残業手当の未払が問題となるに過ぎない事案」であっても、労働組合は「全労働者が有給休暇をとり易くさせるシステムを作ることを要求する」等、未払残業手当問題とは無関係な様々な労働条件についても様々な要求をしてくる。

④組合員である労働者が会社のファックスを利用することや、就業時間中でも組合活動を行うことを要求する。

⑤未払い残業代等の金額より何倍・何十倍の高額な金銭の支払を要求する場合も少なくない。

(PDF)木村峻郎講義レジェメ291025
(PDF)木村峻郎先生講義レジェメ291025

その②へ続く
”税理士の関与先で起こる労働者からの残業代請求はこう対応しろ!!その②”

法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村峻郎)

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