木村峻郎弁護士作成!講演レジェメ集:

木村峻郎弁護士作成!法律学習用講習会レジェメ集(コンプライアンス))『 企業を取り巻く法律の落し穴=従業員の倫理Part2』~ハラスメント対策~”マタハラ行為の法的責任

木村 峻郎 先生作成!講習会レジェメ掲載中
法律監修: アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)

テーマ「企業を取り巻く法律の落し穴=従業員の倫理~ハラスメント対策~PartⅡ」コンプライアンスより

『企業を取り巻く法律の落し穴=従業員の倫理PartⅡ』
~ハラスメント対策~

アイランド新宿法律事務所
代表弁護士 木村 峻郎

1.前回の「PartⅠのセクハラ及びパワハラ問題」に引き続き、更にハラスメントの一種であるマタニティー・ハラスメント(マタハラ)問題についても説明を致しますが、この『ハラスメント問題』は、結局は従業員のコンプライアンスという問題になります。

2.「コンプライアンスとは、法令遵守」という意味でありますが、それは各従業員が「法令の規程を守り、違法行為を行わないことは当然のものとして、更に非道徳的・反社会的な行為も行わない」という理解認識を心掛けて業務に従事すれば、今後も会社が大きな落し穴に陥ることなく営業を継続することが可能となります。
そして法令を遵守することは従業員においても結局「自分の幸福を得るための重要なもの」となります。

3.ところで法律は「社会生活のルール・約束事を規定した」ものです。そこで日々の行動に際し、「ルール・マナーを守る」ということに留意してさえいれば、大きなトラブルに巻き込まれることはありません。

第1 マタハラ問題
1.「マタハラ行為」とは、働く女性が妊娠・出産・育児を行う際、それを理由に、職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受ける等の不当な扱いを受けることを意味します。マタハラは「セクハラ」、「パワハラ」とともに「働く女性を悩ませる3大ハラスメントの1つ」とされています。
※近時の厚生労働省が発表した調査結果では「正社員の5人に1人 (21.8%)、派遣社員の2人に1人(48.7%)がマタハラ被害を受けた」という結果が発表されています。

2.判例で指摘されたマタハラの具体的事例
㋑「シングルマザーでないのだから、経済的に困ってないだろう。だから無理して働くことは必要ない。」「妊娠中は何があるかわからない」「会社に迷惑をかける前に辞めるべき」と言われた事例。
㋺重症なつわりで出勤できなくなった時に「期待していたのに、本当に裏切られた。これからは任せられる仕事がない」と言われた事例。
㋩「見苦しいから座るな」と言われた事例。
㋥流産した時に会社を7日間程休んだ時、「この忙しい時に休みやがって」と嫌味を言われた事例。
㋭「堕ろす覚悟で働け。一生懸命しないと更新はない」「妊婦として扱うつもりもない。特別扱いするつもりもない」と言われた事例。
㋬「残業できないなら戦力にならないから、あなたは必要ない」と言われた事例。
㋣妊婦に対し「通常の制服が着られなくなった時点で辞めてもらいます」また産休を要求した従業員に対し「我が社は産休を取ることは出来ないので、休めば退職という形になります」と言われた事例。
㋠「子どもを堕ろさないならば、仕事は続けさせることはできない」と言われた事例。 etc.

第2 マタハラ行為になるか否かの判断基準
①マタハラやパワハラ等のハラスメントに核守するか否かは、被害者の感じ方(主観、気持ちの意)によって決められます。即ち、「相手方が嫌だと思う行為は、行為者がどの様に考えていたとしても、それはハラスメントと認定」されますが、マタハラの場合も同様に考えられております。

②もっとも、ハラスメントに対する考え方が極端に誇張されることになると、本来ハラスメント行為に該らないものでも「ハラスメント」と騒ぐ者が出現し、トラブルが拡大してしまうことも少なくありません。

③そこで、誤解を招かない様に配慮することを従業員に周知させるとともに、常日頃から「常識」をわきまえる様に心掛けることが、ハラスメント防止のために何よりも重要なものになります。

第3 マタハラ行為の法的責任
マタハラ行為の被害者に対する損害賠償責任
1)マタハラ行為も「セクハラ・パワハラ」と同様に民法709条による不法行為責任を負担させられます。そしてその際損害賠償責任については、精神的損害による慰謝料の支払の他、弁護士費用等についても負担させられることも「セクハラ・パワハラ」の場合と同様です。また、マタハラのために会社を退職しなければならない場合がありますが、その場合には「会社の退職による損害」についても賠償責任を負担しなければならないことになります。

2)会社の行う従業員に対する懲戒処分
懲戒事由として減給や出勤停止がありますが、あまりにもマタハラ行為が繰り返された場合には懲戒解雇処分を受けることがあります。また、懲戒処分とその「戒告」にとどまった場合でも懲戒処分を受けることにより、昇進が遅れたり或は部下からの信頼も失われるため、加害者とされる従業員の被る不利益も、決して軽微なものではありません。

第4 会社の責任
従業員の上記ハラスメントにより、会社も社会的信用が害される他、民法715条により被害者に対する損害賠償責任を負担させられる場合があります。ちなみに、会社が被害者に対して賠償金の支払をした場合には、会社がハラスメントを行った従業員に求償することができます。

<参考条文>
①民法第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

②民法第715条
1.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2.使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3.前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

(PDF)木村 峻郎 先生講演レジェメ291030
(PDF)木村 峻郎 先生講義レジェメ291030

以上

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