木村峻郎弁護士作成!講演レジェメ集:

木村峻郎弁護士作成!法律学習用講習会レジェメ「(コンプライアンス)テーマ『 企業を取り巻く法律の落し穴=従業員の倫理Part1』~ハラスメント対策~」セクハラ問題の法的責任

木村峻郎弁護士作成!講習会レジェメ掲載中
法律監修: アイランド新宿法律事務所(代表弁護士木村峻郎)

テーマ『 企業を取り巻く法律の落し穴=従業員の倫理PartⅠ』~ハラスメント対策~コンプライアンスより

アイランド新宿法律事務所
代表弁護士木村峻郎

はじめに
会社の従業員がセクハラ・パワハラ問題で敗訴し、或いは痴漢、傷害等で逮捕されたときは、直ぐにインターネットで全国に流布してしまう危険性をはらんでおります。そして又、従業員の不正行為が問題化すると、会社自身も当該従業員を使用する者として民法715条の「使用者責任」を負担しなければなりません。そこで会社の全従業員が改めてコンプライアンスを遵守する意義を再認識するため、本日の講演を行う次第です。

第1セクハラ問題
1.【「セクハラ行為」とは何か?】
①セクハラ行為とは、日本語で「性的ないやがらせ行為」と訳されるものであり、他人に対して言葉や態度で「性的表現」を行い、相手方に不快感を与え、或いは不安な精神状態に陥らせることを意味します。
②職場における階級の上下関係を利用し、下位にある者に対して「性的な発言や態度を示し、性的な態度を強要する」ことが実際上多くあるため「被害者の救済の必要」から社会問題になり、法律上も強い救済を与える必要性が認められたものです。

2.【セクハラ行為になるか否か、どの様な基準で決めるのか?】
①セクハラ行為になるか否かは、被害者の感じ方(主観)によって決められます。即ち、「相手方が嫌だと思う行為は、セクハラ行為」になります。そのため、セクハラ行為に対する考え方が極端に誇張されることになり、本来セクハラ行為にならないものまででも「セクハラ行為だ!」と騒がれ、トラブルが拡大してしまうことも少なくありません。
②そこで、誤解を招かず、いわば「常識」をわきまえることが、セクハラ防止のために何よりも重要なものになります。

3.【セクハラ行為となる具体例】
①上司が部下の女性に対し、いわば昇進を人質に取った性的関係を強要すること
②上司が部下の女性の身体に触ること
③上司が部下の女性に対し、執拗に食事に誘うこと
④上司が部下の女性に対し、酒席でのお酌の強要すること
⑤一人暮らしである部下の女性を「タクシーで自宅前まで強引に送ろうとする」こと
⑥部下の女性を他の社員の前で名字ではなく女性の名前を、いわゆる「ちゃんづけ」で親しげに呼ぶこと
⑦取引先との売買契約を口実にした、デートの誘いや愛人契約を強要すること     etc.

4.【セクハラ行為を行なった場合、法律上、どの様に裁かれるか?】
各責任の内容
1)刑事責任
・強制わいせつ罪(刑法第174条)、強姦罪(刑法177条)
・名誉毀損罪(刑法第230条)
・侮辱罪(刑法第231条)  etc.

2)民事上の損害賠償責任

不法行為を理由とする損害賠償責任(民法第709条)

※損害賠償請求を受ける場合には精神的損害による慰謝料請求の他、弁護士費用や裁判費用等も負担させられるため、損害賠償の金額が高額となる場合も少なくない。

3)懲戒処分
多くの会社では、就業規則にセクハラ・パワハラ行為を禁止し、その違反者に対し懲戒処分が為されることを規定している。そして著しいセクハラ・パワハラ行為が行われたときは、最も重い懲戒解雇まで為されてしまう場合もある。

第2 パワハラ問題
1.【「パワハラ行為」とは何か?】
パワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、
①職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、
②業務の適正な範囲を超えて、
③精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。
※上司から業務上の必要な指示や注意・指導を受けた部下が不満に感じたりする場合であっても、業務上の適正な範囲で行われている場合には、パワハラにはあたりません。

2.パワハラの行為類型
①被害者への身体的な攻撃 ⇒ 暴行・傷害・傷害致死
②被害者への精神的な攻撃 ⇒ 名誉棄損・侮辱
③「仲間はずれ」的な行為 ⇒ 窓際族とする・口を利かない或は無視する。
④不適切な仕事を行わせる ⇒ ①業務上、全く無駄なことを行わせる。
②営業社員に会社の経理業務に従事させる等、実際に行うことが出来ない業務への配置転換をする。
③例えば、デザイン業務に従事している従業員に対し、社外の掃除をさせたり、或は買い物等の雑務に従事させる。
⑤プライバシーに関与する ⇒ プライベートの問題について、過度に干渉する。

3.私的なことについて上司が過度に立ち入ること
労働者の私的な事柄は労働者自身が決めるものであることから、使用者の裁量は原則として狭く解されている。

<違法とされた例>
①部下の借家紛争につき、上司が部下の確定的決断後に職制上の優越的地位を利用して執拗に和解を強要した行為
(横浜地方裁判所判決)
②他の従業員には指示をしていないのに、ある部下に対してのみ結婚指輪を外すよう指摘する行為
(名古屋高等裁判所判決)

<参照条文>
民法第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

民法第715条
1.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2.使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3.前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

(PDF)木村峻郎弁護士講演レジェメ291029
木村峻郎弁護士講演レジェメ291029

PartⅡへ続く
企業を取り巻く法律の落し穴=従業員の倫理~ハラスメント対策~

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