木村峻郎弁護士作成!講演レジェメ集:

木村峻郎弁護士作成!法律学習用講義レジュメ集「(労働法)会社と従業員の労務問題 ~従業員とのトラブル防止 その1~」雇用契約、請負契約の区別

木村峻郎弁護士作成!講演会レジュメ集
法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士木村峻郎)

会社と従業員の労務問題
~従業員とのトラブル防止 その1 ~

アイランド新宿法律事務所
代表弁護士 木村 峻郎

第1 雇用契約か、それとも請負契約か

1.雇用契約とは「Aが、甲会社の指示に従って、一定時間の労働に従事すれば、その仕事の出来具合(結果)如何に拘わらず、甲会社がAに賃金を支払わなければならない」という内容の契約である。
(後記記載の民法第623条・632条の条文参照)

2.請負契約とは
・Aが甲会社の指示に従い、労務に従事しさえすれば足り「仕事の成果如何を問わない」という契約が雇用であるのに対し、請負契約は「仕事を完成(成果)させなければ、Aは甲会社に報酬の支払を請求することができない」という契約である。
・なお、委任契約は、税理士や弁護士などの様に「依頼された仕事を、自己の専門的な判断で処理」し、「従業員との如く会社の指示に従って仕事をする」というだけでは委任契約ではない。

3.雇用契約と請負・委任契約とを区別する実益
・後述する如く「他人に仕事をして貰うことが雇用契約であれば「労働条件につき法律上の厳しい制約を受け、その違反行為に対しては様々なペナルティが科せられる」ことになるが、請負契約や委任契約であれば、雇用契約の場合の様な、厳しい制約は受けない。

4.賃金・報酬の不払の場合
①雇用契約における賃金支払の遅滞
イ)約定の日に残業手当の支払が為されない場合、雇主はペナルティとしてその不払賃金額と同額のペナルティの支払をしなければならない。
ロ)労働基準局より行政指導を受ける他、刑事事件として起訴され、罰金刑に処されることもある。
②請負契約や委任契約における代金支払の遅滞
請負契約に基づく報酬を注文者が約束の日に支払わない場合「未払報酬全額及びそれに対する年5パーセント、又は6パーセントの割合による遅延損害金の支払請求を受けることになる」が、雇用契約の場合と異なり、労働基準局や検察庁からの呼び出しを受けることはない。

5.Aが甲会社の仕事をしている最中に、誤ってBに損害を与えた場合、Aが甲会社の従業員である場合には「甲会社はBに対して、損害賠償責任を負担しなければならない」が、Aが甲会社と請負契約又は委任契約を締結した者であるに過ぎない場合には、Aは損害賠償責任を負担しないのが原則である。

6. 雇用契約と他の契約との区別

問)
事例1 甲会社は10数年前からAに対し、Aの「自宅で行う、いわゆる内職作業を依頼してきた」が、景気後退のためAに対する仕事の発注を断ったところ、Aから「自分は自宅勤務を命じられていた甲会社の従業員であるから、仕事を断るなら、甲会社の社員として退職金を支払え」という請求を受けた。この場合甲会社は、退職金の支払いをしなければならないか。
事例2 例1の場合においては、Aが自動車を運転して作業の完成品を毎日B会社に届けていたが、ある日Aの過失で、自動車の衝突事故を起こし、乙に対して重傷を負わせた。甲会社は、乙に対しても損害賠償責任を負担しなければならないか。

<参考条文>
※民法 第623条 (雇用)
「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与える事を約することによって、その効力を生ずる。」

※民法 第632条 (請負)
請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。

第2 従業員の採用

・採用内定と内定取消
1)「採用内定」の法的意味
雇用契約の締結=会社が「採用内定の通知書」を送付すると、会社が「内定者との雇用契約を締結する」旨の意思を表示したものとなる。
※採用内定につき「解約権を留保した労働契約が成立する」旨を判示した最高裁判所の判例(大日本印刷事件)があるが「解約権が留保された」からと云って、会社が慾しいままに内定を取消すことが出来るものではない。

・内定者に対する採用内定を取消すことが可能な例
①内定者が「内定時に予定された時期」に、学校を卒業することができなかったとき
②内定者が健康を害し、長期療養等のため、当分の間「会社に勤務できない」ことが明らかなとき
③内定者が犯罪行為を行ったため、会社が採用を取り消すことが正当と認められる場合 etc.

2)会社側の都合により内定を取り消す場合
会社側の都合により採用内定を取り消すときは、解雇(労働契約の解消)として取り扱う。従って、①会社側に留保されている「解約権の行使を許さなければならない」と考えられる様な合理的な理由(例えば、著しい業績不振)が必要である。
※なお、この場合、実際上正社員に対する場合よりも、解雇がより容易に認められる。そこで判例も「業績不振により、一般従業員を整理しなければならないときに、会社側が整理解雇を避けるための十分な努力をしたと認められる場合には、解約権の行使により内定を取り消すことができる」と判示している。

(PDF)講義レジェメ291018アイランド新宿法律事務所(木村峻郎)
(PDF)講義レジェメH291018アイランド新宿法律事務所(木村峻郎)

その2へ続く
会社と従業員の労務問題~従業員とのトラブル防止~

法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)

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