木村峻郎弁護士作成!講演レジェメ集:

木村峻郎弁護士作成!法律学習用講習会レジェメ「東京税理士会●●支部セミナー テーマ『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察4』」税務訴訟の現状、求償権

木村 峻郎 先生税理士会向けセミナー講習会レジェメ掲載中!
「東京税理士会●●支部セミナー テーマ『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察④』」(税理士の先生方へ)
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法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)

平成23年9月15日
(注)上記日付時点の法令に基づいて、作成されております。
於 東京税理士会 ●●支部

『税理士損害賠償と業務遂行時の注意点及び判例考察④』

アイランド新宿法律事務所
代表弁護士 木村 峻郎

第6 弁護士からみた税理士の誤解が生じやすい事例 ②

1.〔限定承認〕
限定承認をした相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ、被相続人の債務および遺贈を弁済すればよい。(民法922条)

2.〔限定承認と納税〕
限定承認をした場合でも、プラスの相続財産がある限り、相続税を納付しなければならない。
※もっとも、相続財産の金額が相続債務額を超えている場合でも、通常の場合と同様に基礎控除がある。そして、限定承認の場合に、「みなし資産譲渡制度」があるので、これも被相続人の債務とすることから、実際上は税金の支払をしないで済む場合が多い。

3.〔申告義務者は限定承認をした者〕
限定承認をした相続人がみなし資産譲渡所得税について納税義務を負担していることから、不動産の処分が長引いているときは徴税担当者より「被相続人の固有財産で税金の支払いをする」ことが要求される場合がある。
これに対しては、相続債務の引き当てになるのは相続財産のみであり、被相続人の固有財産は相続債務の引き当てにならないことを主張し、争うべきである。
(大審院 昭和7年6月2日 民集11・1099参照)
※なお、この点については予めクライアントに明確に説明しておくことが必要である。

第7 税理士職業賠償責任保険の留意点

〔適用要件〕
約款の規定する要件は厳格である。

1)特別約款第1条(保険会社のてん補責任)
『当会社は、賠償責任保険普通保険約款第1条の規定にかかわらず、被保険者が、日本国内において税理士または税理士法人としての業務の遂行にあたり、職業上相当な注意をしなかったことに基づき提起された損害賠償請求について法律上の損害賠償責任を負担することによって被る損害をてん補します。』

2)保険の対象とならない例 《その1》
①『被保険者は、業務遂行にあたり、業務執行に関する記録を備えておかなければなりません。』
②『被保険者が正当な理由なく前項の義務を怠ったときは、当会社は、前項の記録を備えていない業務に起因して生じた損害をてん補しません。』

3)保険の対象とならない例 《その2》
『当会社は、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、延滞税もしくは利子税または過少申告加算金、不申告加算金もしくは延滞金に相当する損害については、これをてん補しません。』

4)保険の対象とならない例 《その3》
『当会社は、納税申告書を法定申告期限までに提出せず、または納付すべき税額を期限内に納付せず、もしくはその額が過少であった場合において、修正申告、更正または決定により納付すべき税額の全部もしくは一部に相当する金額につき、被保険者が被害者に対して行う支払(名目如何を問いません。)については、これをてん補しません。』    etc.

【参考;正誤問題】

税理士Aが行った以下の行為に関する記載について、判例に従い正しいものには印を、誤っているものには×印をつけよ。

1.善管注意義務違反の具体例①
( )AはBより相続物件が市街化調整区域にあると聞いて相続物件を過少に評価して相続税の申告をしたが、実際には市街化区域内にあったため、Bが過少申告加算税等の損害を被った場合、Aは賠償責任を負担しなければならない。
(平成8年3月15日 大阪高裁)

2.善管注意義務違反の具体例②
( )AがBに対し「変額保険は生命保険会社の利子の方が銀行の利子よりも高いので返済可能」と説明したため、Bが保険に加入したが、保険の運用費が低下し、いわゆる元本割れの事態になった場合でも、Aの行為は税理士業務とは無関係であるのでAは損害賠償責任は負担しない。
(平成12年9月11日 東京高裁)

3.善管注意義務違反の具体例③
( )相続税の支払いにつき「物納の方が延納よりも有利である」と考えられる場合に、「物納を選択しなかったAの行為は善管注意義務違反」がある。
(平成7年11月27日 東京地裁)

4.善管注意義務違反の具体例④
( )相続税の申告につきAが依頼を受けた場合、遺産分割案を作成しないことも善管注意義務違反となる場合がある。
(平成10年9月18日 東京地裁)

5.説明義務違反の具体例①
( )Bが租税回避行為を行おうとしている場合、Aには「Bの選択が場合によっては税務署から否認され、課税される危険性を説明すべき義務」があり、この義務に違反すれば損害賠償責任を負担する。 
(平成9年5月20日 大阪地裁)

6.説明義務違反の具体例②(従業員を使用していた場合)
( )Aの補助者甲がBから「不動産売却に伴う所得」の税務申告について相談を受けた際、Bには買い換え特例適用を受けることができる資格があるのに、BがAにその資格があることを話さなかったので、買い換え特例の申請適用をしなかった場合、Aは損害賠償責任を負担する。
(平成4年7月31日 東京地裁、平成8年11月29日 大阪高裁)

7.報酬の有無
( )事務所に税務相談に訪れたBに対し、Aは相談に応じたが善管注意義務を尽くさなかった。この場合、Aが無報酬である場合には、損害賠償責任を負担しない。
※上記の事例において「AがBとゴルフプレイを楽しみながら相談に応じた」という場合はどうか?
(前記❶平成7年6月19日判決参照)

以上

(PDF)木村峻郎弁護士作成税理士会セミナー講義レジェメ291108-2

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