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木村峻郎弁護士作成!法律学習用講義レジュメ集「会社と従業員の労務問題 ~従業員とのトラブル防止~ その8」(労働・雇用問題)賃金の取り扱いについて

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法律監修:アイランド新宿法律事務所 代表弁護士)

テーマ「会社と従業員の労務問題 ~従業員とのトラブル防止~その8」(労働・雇用問題)
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会社と従業員の労務問題
~従業員とのトラブル防止~その8

アイランド新宿法律事務所
代表弁護士 木 村 峻 郎

第1 賃金の取扱いについて

1.賃金の定義
 ①賃金とは=労働者が行った労働の対価として、使用者より支払が為される金銭
 ②労働者の平均賃金を算出する場合には、給料として支給した金銭の他、以下の支払金銭も「賃金」として取り扱われる。
 ・慶弔見舞金や退職金…原則として賃金ではないが、給料や賞与の他に就業規則で支給条件が明確なものは賃金となる。
 ・食事の供与…労働者から徴収する代金額が実際の費用の3分の1以下であるときは、徴収金と実費の費用の3分の1との差額が賃金として計算される。
 ・福利厚生施設…社宅を貸与されていない者に対し、均衡給与が支給されている場合、その支給額は賃金になる。

2.賃金支払いの五原則
労働者が「賃金により生活をする者」であることから、法は「賃金が労働者本人に対し、確実に支払が為される」ように配慮している。       
1)通貨により支払う。
 賃金は金銭以外の、例えば「会社が販売する商品で支払う」ということは出来ず、必ず通貨で支払をしなければならない。
2)労働者本人に対し、直接支払う。
 必ず労働者本人に対して支払をしなければならず、代理人に対する支払は許されない。
3)賃金は全額を支払う。
 賃金の全額を支払わなければならず、例えば貸付金と賃金との相殺処理は認められない。
※会社からの借入金につき「労働者本人が予め承諾をした場合には、相殺も許される」と判断した判例がある。しかし、仮に会社が労働者の承諾を得て相殺をしたとしても、後日労働者から「会社に無理矢理、承諾をさせられた」という、因縁とも云うべき口実が出されることがある。そこで賃金と、労働者に対する貸付金の相殺は出来る限り避け、例えば賃金を現金で支払うが「その場で労働者から返済させる」という方法を取ることが必要である。
4)毎月1回以上の支払いをする
 毎月月末までの間に、必ず1回は支払いをしなければならない。
5)一定期日に支払う
 毎月一定期日(例えば毎月25日)に、賃金を支払わなければならない。
  ※「毎月1日から5日までの間」或は「毎月第1月曜日」という日は一定期日ではないため、これを「給料日」とすることはできない。

<参考>
会社が金融機関を利用した給与振込の有効要件 
①労働者が同意していること。
②労働者の指定する金融機関の本人名義の口座へ振り込むこと。
③労働者が給料日に金銭を引き出すことができること。
 (※会社が銀行を指定することは本来認められないが、実際上はこの様なケースも多い。)

3.賃金の算定
1)月給制
2)年俸制
①年俸制は毎年、労働者の「1年間の賃金を、その従業員の業務成績に応じて定める」もので「実力主義」と解釈されるものである。
②なお、年俸制を採用しても「年俸を12等分した金銭を、毎月1回定期的に支払」をしなければならない。
③又、年棒制を採用しても従業員が残業、休日労働等をすれば、割増賃金の支払い対象となる。もっとも、裁量労働制度を導入している場合は、研究開発等の一定の業務については労使で予め定めた時間を勤務したとみなして支払金額を決定し、それを超える残業時間については割増賃金の支払をする必要はない。
3)歩合給制
歩合給制とは「仕事の成果や実績に応じて賃金を変動させ、やる気を促進させる制度」であり、成果に対する報酬額の支払との関係(例えば自動車1台を販売すれば、販売代金の1割相当額の給料を支払う)を、予め明確に定めておかなければならない。 etc.
   
4.賃金受給の法的保護
1)会社が休業手当を支払わなければならない場合
 例えば店舗の改装工事のため1ヵ月間休業をした場合等、会社側の責任で労働者が就業することができなかった場合には、会社は平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払う義務を負う。
2)非常時の賃金前払い
 労働者が出産、疾病、災害等の非常の場合の費用にあてるために「給料の支払い」を請求した場合には、労働者が既に行った労務における賃金を支払う義務がある。
3)ストライキによる場合
 会社はストライキに参加した労働者に対しては、賃金を支払う必要がない。
4)最低賃金法の遵守
①労働者に対して支払う賃金は「最低賃金額」を下回ることはできない。これは、労働者の国籍や雇用形態を問わず、すべての労働者に対して要請される原則である。
②賃金の計算は、各都道府県のすべての労働者に適用される「地域別最低賃金」と都道府県内の特定の事業について適用される「特定最低賃金」があるので、その金額を比較して、高い金額を定めたものが「最低賃金」となる。
※一般的には「時給は800円」と考えておけば良い。
③仮に、労働者が「最低賃金額よりも低い金額に同意をしている」場合でも、それは無効であり、使用者は最低賃金を支払わなければならない。

〈例外〉
 ・精神または身体の障害により、著しく労働能力の低いもの。
 ・試用期間中のもの。
 ・軽易、または断続的な業務に就くもの etc.

5)平均賃金
   算定事由の発生日より3ヶ月の期間の賃金総額を当該3ヶ月の総日数で除して算定する。
  

【平均賃金の算定が必要となる具体例】
 ①即時解雇のための予告手当
 ②使用者の責任による休業手当
 ③年次有給休暇における支払賃金 etc.

(PDF)木村 峻郎 先生講義レジェメ291028
木村峻郎先生講義レジェメH291028

以上

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