木村峻郎弁護士作成!講演レジェメ集:

講義レジェメ紹介「民法第2回(平成28年度小塚勉強会講義)民法709条」

小塚勉強会 講義レジェメ紹介 ”民法第2回” 法律監修 アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)

テーマ 全く初めての人のための民法―その2―

小塚勉強会民法第2回
講師 小塚 征生

第1 法律の目的から勉強方法を掴む
1. 法律の目的
=AとBとの具体的なトラブル(争い)について、法律を適用して解決を図る。

2. 勉強方法の確立
1)条文の知識
=各試験は具体的紛争事例において、直ぐに適用すべき条文を操作することができるか否かを判断する。
※基本的事例毎に適用される条文を整理して暗記する訓練を優先的に行う。
(前回の講義で述べたことの再確認)

2)AとBとの紛争について法律による解決を図る際、或る条文が適用できるか否かという問題がある。
             ↓
それは多くの場合が、要件の定義を知っているか否かの問題として出題される。
             ↓
そこで「重要な条文の構成要件要素の定義を抜き書きして暗記する」勉強をする。(本日の講義のポイント)

第2 条文適用能力の問題

・練習問題
平成28年5月11日、AはBからBが所有する建物を、代金3,000万円、引渡しを同年6月10日とする売買契約をした。
しかし、同年6月10日になってもAはBから建物の引き渡しを受けていない。この場合、以下の問に答えて下さい。

1)Bが引渡しをないことにつき、AはBにどの様なことを主張することができるか。この事例においてAはBに対し、損害賠償を請求するためにどの様な要件を備えなければならないか。適用条文を示して答えて下さい。
                                                                            
                                 
                                    

2)AがBに対し契約を解除するためには、どの様な要件が備わっていなければならないか。適用条文を示して答えて下さい。
                                     
                                                   
                                    

3)BがAに対し代金の支払請求又は損害賠償請求をすることができる場合があるか。適用条文を示して答えて下さい。
                                     
                                                   
                                    

4)BがAに契約解除を主張できる場合があるか。適用条文を示して答えて下さい。
                                     
                                                   
                                    

第3 以下の構成要件要素について定義を述べて下さい。
1)民法709条
 過失とは?=「予見義務と結果回避義務」
                                     
                                                   
                                    

2)民法715条
 ①「被用者」とは何か。
                                     
                                                   
                                    
 
 ②「事業の執行」とは何か。
  事実的不法行為と取引的不法行為とに分けて述べて下さい。
                                     
                                                   
                                    
                                    

第4 共同不法行為(民法719条)
1)共同不法行為の要件は何か。
 ① 不法行為の意味内容

 ② 「共同」の定義
                                   
                                                   
                                    
                                                                       

第5 被害者(民法722条)
1)「被害者の過失」は、民法709条の「過失」と何が違うのか。
                                                                       
                                                   
                                    

2)「被害者」には「被害者側を含む」と定義される理由は何か。
                                                                       
                                                   
                                    

以上

(PDF)小塚勉強会H28民法第2回法律監修アイランド新宿法律事務所(代表弁護士木村峻郎)
(PDF)小塚勉強会H28民法第2回法律監修アイランド新宿法律事務所(木村峻郎)

法律監修 アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)

<参考資料>
使用者責任(715条)
 ア 趣旨・責任の性質
   使用者が被用者を使用することによりその事業範囲を拡大し、利益をあげているのであるから、公平の観点から、それによる損失も負担するべきであるという報償責任の原理→報償責任の原理に基づく代位責任
 イ 要件
   ①使用者と被用者の間の使用関係
   ②加害行為が「事業の執行について」なされたこと
   ③被用者による加害行為が一般不法行為の要件を満たすこと
   ④免責事由がないこと

「事業の執行について」の意義
【取引行為的不法行為(手形の偽造行為等)】
行為の外形からみて被用者の職務の範囲内の行為に属するものとみられる場合をいう(外形標準説、 大連判大15.10.13)。

∵使用者責任は、正当な権限の存在に対する信頼を裏切られた相手方の保護という機能を持つ。

もっとも、外形標準説は相手方の信頼を保護するものであるから、相手方が職務の範囲外であることについて悪意又は重過失ある場合は適用されない(最判昭42.11.2、百選Ⅱ84事件)。

【事実行為的不法行為】
① 危険物型(自動車事故等)
外形標準説(最判昭39.2.4)
② 暴行型
事業の執行行為との密接関連性(最判昭44.11.18)、暴力団の資金獲得活動と殺傷行為の密接関連性(最判平16.11.12、百選Ⅱ83号事件)

∵報償責任の原理
(注)① 型について、外形に対する信頼は問題とならないから、外形標準説は妥当せず、報償責任の原理から、使用者の支配領域内の危険か否かを基準とすべきであるとする説がある。

共同不法行為(719条)
ア 趣旨
複数の行為者が関与する共同不法行為について、各加害者が損害全部につ いて連帯責任を負う旨を規定することにより。被害者の救済を図る。
イ 狭義の共同不法行為の要件
 (ア)要件
  ① 各人の行為が独立して不法行為の要件をみたすこと
  ② 各行為者間に「共同」関係があること

  ① 各人の行為が独立して不法行為の要件をみたすこと 
各人の行為と損害の間に因果関係が必要か 各人の行為が不法行為の一般的成立要件をみたすことが必要(大判大8.11.22)
∵共同不法行為といっても。その基になるのは各人の行為である。
 
② 各行為者間に「共同」関係があること
「共同」の意義~関連共同性の内容 社会的にみて数人の加害行為が一体とみられる関係にあることで足りる(客観的関連共同説 大判大2.1.26)。
∵719条の趣旨である被害者の救済という見地からは、客観的関連共同性があれば足りると解すべきである。

ウ 効果
「各自が連帯してその損害を賠償する責任を負う」の意義~責任の性質 不真正連帯債務(裁判昭57.3.4)
∵① 被害者保護という719条の趣旨②共同不法行為者間に主観的結合関係はない。
他の共同不法行為者に求償できるか 自己の負担部分を超えて支払った場合には、他の共同不法行為者に求償できる(最判平3.10.25)
∵①不真正連帯債務と解すると、負担部分がないことから求償は否定されそうだが、それでは損害の公平な分担という理念に反する②客観的な結果発生の寄与度に応じて、各不法行為者の負担割合を認定できる。

「被害者」の「過失」
「過失」の意義~過失相殺能力の意義 被害者に責任能力が備わることは必要でなく、事理弁識能力(損害の発生・拡大を避けるのに必要な注意能力)があればよい(最大判昭39.6.24、百選Ⅱ93事件)。

∵過失相殺は、不法行為者に対し損害賠償責任を負わせる問題とは異なり、損害の公平な分担という見地から損害の発生について被害者の不注意をいかに斟酌するかという問題である。

「被害者」の過失に被害者側の過失も含まれるか?
被害者と身分上、生活関係上一体と見られる者の過失は、被害者側の過失として含まれる(最判昭51.3.25)。

∵被害者本人の過失でなくても、被害者と身分上、生活関係上一体と見られる者の過失を斟酌することが、損害の公平な分担という722条2項の趣旨に合致する。

(注)判例の中には、身分上生活上一体関係がない場合であっても、共同暴走行為の一環としてなされた行為に関して、被害者側の過失を考慮できるとしたものがある(最判平20.7.4、重判平20民法10事件)。

被害者の心因的要因、身体的要因は損害賠償請求において斟酌されるか。

【心因的要因】
身体に対する損害が、加害行為のみによって通常発生する程度・範囲を超えるものであり、且つその損害拡大について被害者の心因的要因が寄与しているときは、722条2項を類推適用することによって、その損害の拡大に寄与した被害者の事情を賠償額の算定に考慮することが出来る(最判昭63.4.21)。
∵被害者の「過失」ではなく、直接適用できないが、損害の公平な分担という722条2項の趣旨は妥当する。

【身体的要因】
被害者に対する加害行為と加害行為前から存在していた被害者の疾患とがともに原因となって損害が発生した場合において、当該疾患の態様、程度等に照らし、加害者に損害の全部を賠償させるのが公平に失するときは、裁判所は損害賠償の額を定めるにあたり、722条2項を類推適用して、被害者の当該疾患を考慮することができる(最判平8.10.29、百選Ⅱ94事件)
∵被害者の「過失」ではなく、直接適用できないが、損害の公平な分担という722条2項の趣旨は妥当する。
     ↓
もっとも、被害者が平均的な体格・体質と異なる身体的特徴を有するが、それが疾患に当たらない場合には、原則として考慮することができない(最判平8.10.29、百選Ⅱ94事件)
∵人の身体には当然に個体差があり、個体差の範囲内の身体的特徴を要因とする損害の拡大は、当然に予定されている。

<参考資料>
引用:辰巳法律研究所「趣旨・規範ハンドブック2」より

運営元:小塚勉強会(法律を勉強する会)
法律監修:アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村 峻郎)

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