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木村峻郎弁護士作成!法律学習用講義レジュメ集「民法-遺留分に関する民法の特例法」株式の生前贈与、株価の算定

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テーマ 遺留分に関する民法の特例法
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アイランド新宿法律事務所
講師 弁護士 木村 峻郎

遺留分に関する民法の特例法の概要
1.目的=遺留分をめぐるトラブルを回避し、事業承継を円満ならしめるために認められた制度。近時規定されたものであり、この制度の利用を税理士が勧めている場合があるが、要件が実際的ではないため、実際上利用することが困難であることを知る。

2.株式の生前贈与
中小企業であるY会社の経営者Aが、子Bを会社の代表者に就任させるため、Aの所有するY会社の発行済株式の全部をBに生前贈与した場合、それが他の相続人CやDの遺留分を侵害することになったとしても、「相続人CやDは、Bに対し遺留分減殺請求を行使することが出来ない」とする制度。

3.株価の固定
① 例えばAがBに贈与した株式の価額を、平成29年10月1日現在における時価を基準とした「1株を1万円」と定め、その後Bが甲会社の経営者として業績を向上させたため、1株の価額が5万円になった場合でも遺留分の計算においては「贈与した株式は1株1万円」と評価して、株価を固定する。
② その結果、1株を5万円と計算した場合には、Bが受けた生前贈与がCやDの遺留分を侵害することになったとしても、1株を1万円と評価するため、CやDの遺留分を侵害しないことになる。

4.実際上利用することが困難な理由
遺留分に関する民法の特例法の厳格な適用要件
(1)株式を譲渡するAが中小企業者の代表者であった者または現在代表者でなければならない。
(2)「株式の後継者」
旧代表者AがBにY会社の発行済株式を生前贈与する場合、Bが「Y会社の後継者」となっていなければならない。
①Bが旧代表者Aより50パーセントを超える株式の贈与を 受けること。
②Bが甲会社の代表者であること。
※Bが甲会社の代表者でなければ特例法は適用されない。

※Bが甲会社の代表者でなければ特例法は適用されない。
(3)効果
Aの相続が発生した場合、後継者Bが取得した株式につき、①遺留分を算定する遺産の総額に算入しない、或は②株式の価額を、合意時の価額で算定することが可能になる。
(4)推定相続人全員の合意が必要となる。
(5)家庭裁判所の許可

5. 弁護士から見た特例法
(1)長所
① 事業承継の安定性を確保することができる。そのため、会社の対外的な信用を確保することにも役立つことになる。
② 会社の従業員が「後継者を中心にして団結」し、会社業務に従事することになるので業績向上を期待することができる。そこで、企業としてのメリットは大きいものがある。

(2) 短所
① 相続人間の公平を損なうおそれがあるため、「他の相続人全員の同意」が要件とされているが、推定相続人全員の同意を得ることは、実際上困難な場合も生じる。
② 「将来の後継者」に予定している者がいても、その者が「若年」等であるため、現段階では直ちに会社代表者に就任させることができないときは、適用することができない。
③  家庭裁判所の許可を得るためには「遺留分侵害の程度が軽微である」ことが適用の要件になる可能性がある。この制度を利用する場合には「他の相続人にある程度の代償金の支払いをする」等、結局利益調整を十分に図らなければならないことになる。

問題 試してみませんか?
遺留分侵害と遺留分に関する民法の特例について述べている以下の記述について、正しいものには印を、誤っているものには×印を記載して下さい。

(  ) ①  中小企業である会社の経営者Aが、子Bを会社の代表者に就任させるため、Aの所有する甲会社の発行済株式の全部をBに生前贈与した場合、それが他の相続人CやDの遺留分を侵害することになったとしても、特例法が適用される場合には相続人CDは、Bに対し遺留分減殺請求を行使することが出来ない。

(  ) ②  AがBに贈与した株式の価額を、平成29年10月1日現在における時価を基準に「1株を1万円」と定めたうえ、その後Bが甲会社の経営者として業績を向上させたため、現在1株の価額が5万円になった場合でも、遺留分の計算においては「贈与した株式は1株1万円」と評価されるため、CDは遺留分減殺請求権を行使することができない場合がある。

(  ) ③  肢②の場合、1株を5万円と計算した場合には、Bが受けた生前贈与がCDの遺留分を侵害することになったとしても、1株を1万円と評価するため、CやDの遺留分を侵害しないことがある。

(  ) ④  譲渡人A(旧代表者)は、甲会社の代表者であった者または現在代表者である者に限られる。

(  ) ⑤  旧代表者AがBに甲会社の発行済株式を生前贈与する場合、Bが下記の要件を備えていなければならない。


イ)Bが旧代表者Aより50パーセントを超える株式の贈与を受けること。
ロ)Bが甲会社の代表者であることが必要であること。

(  ) ⑥ 本法を適用するためには推定相続人全員の合意が必要となる。

(  ) ⑦ 本法を適用するためには、経済産業省の確認を得たうえ、更に家庭裁判所の許可も得なければならない。

(PDF)木村峻郎先生講演レジェメ-2H291017(木村峻郎)
(PDF)木村峻郎先生講義レジェメ291017-2

以上

法律監修 アイランド新宿法律事務所(代表弁護士 木村峻郎)

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